日記

レヴィ=ストロース追悼

レヴィ=ストロースが10月30日に亡くなったというニュースが今朝はいってきました。コメントでもそのことを書かれた人もいましたね。去年11月に100歳の誕生日を迎えたときも寝たきりになっていたので、ああやっぱりそうなのかという感想でした。「祝 レヴィ…

祝100回記念! といっても何もないけど。

このエントリーが、このブログの100日目になります。パチパチパチ。2006年12月30日に開設したので、34カ月、約1000日で100日、10日に1回というペースは目標としていた週1日に及びません。でも、知り合い以外はほとんど読んでいないのではと思うこともあり、…

子ども手当に所得制限って、左翼小児病?

民主党のマニフェストの目玉の一つである「子ども手当」について、所得制限を設けるべきという声があがっているようです。政権発足後すぐに、与党である社民党の福島みずほさんが、子ども手当には所得制限を設けるべきだと発言しましたし、自立生活サポート…

「『社会の二層性』あるいは『二重社会』という視点」をアップしました

いつのまにか5月ですね。いま、真正性の水準の帰結である「二重社会」という視点の意義について、1冊の本を書いています。論文を集めたような学術書ではないのですが、少しでも学術的な部分を含んだ本を書くとなると、たとえば、これまで似たようなことを…

若い世代のレヴィ=ストロース

河出書房新社から『道の手帖 中島敦』が送られてきました。河出の編集者に知り合いはいないので「はて?」と思って開けると、松本潤一郎さんからの献本のようです。松本さんとも面識がないので、二度目の「はて?」。 謎を解くべく掲載されていた松本さんの…

景気対策とは別に必要なこと

報告書用の論文の原稿が一息ついたので(とは言っても書き終えたのではなく、締切を1か月伸ばしてもらっただけですが*1)、久々に2日連続のエントリーを。 政府や政治家の景気対策や雇用対策はどうも変な方向に行きがちになってきました。政府のほうはとい…

子どもに左翼になってほしいと願うこと

2009年最初のエントリーは、心に残っている言葉を紹介したいと思います。発言者は、アメリカの哲学者リチャード・ローティです。どんどんナショナリストになりつつあるローティの書いていることには批判的になることが多いのですが、つぎの言葉は腑に落ちま…

祝クロード・レヴィ=ストロース100歳の誕生日

きょう11月28日は、クロード・レヴィ=ストロースの100歳の誕生日です。予定原稿でも作っておいて気の利いたことでも載せればよかったのでしょうけれども、行き当たりばったりで。 主著の『神話論理』の最終巻(神話論理4)の第一分冊の『裸の人1』はよう…

評価することと愛することは同じ場ではできない

11月12日のエントリーに対して、きょう、さちがさんから以下のような2回目のコメントをいただきました。それに対する応答をコメント欄に書こうとしたのですが、あまりに長くなったのと、コメントと関係のない脱線が多くなったのでエントリーにしちゃいまし…

言論の自由について

論文執筆で忙しいさなかですが(いつのまにか次の締切が近づいてきました)、田母神前空幕長の更迭問題に絡んで、「言論の自由」についての言説が飛び交っているようです。この言葉の使い方が前から気になっていたので、ちょっと言論の自由について書いてみ…

税金を払わない人に金券を配ると合法的買収?

11月4日の毎日新聞夕刊の「牧太郎の大きな声で言えないが…」というコラムで、次のようなことが書かれていました。 追及すべきは「税金を納めない人にも一律に定額給付する経済政策」である。税金を払わない人にまで金券を配る。大枚2兆円。選挙前の合法的買…

なぜ消費税の増税なのか

麻生首相が30日、全世帯を対象とした総額2兆円規模の給付金支給などを柱とした追加経済対策を発表した際に、3年後の消費税率の引き上げを明言しました。消費を拡大するための政策を発表するときに、増税を明言するって、給付金支給の効果を無にするような…

ベーシック・インカムについて(補遺)

黄色い犬さん、コメントありがとう。予告編には期待していますというコメントをいくつかいただいたのに、本編にはコメントがなかったので期待外れだったのかなと思っていました。これで心おきなく仕事をしようと思っていたのですが、黄色い犬さんのコメント…

ベーシック・インカムについて(3)

さて、連載3回目です。 前回の最後に、ベーシック・インカムによって労働意欲がなくなり、モラル・ハザードを招くという右派やエコノミストの危惧を挙げました。それと関連して、ベーシック・インカムに反対する人たちの理由として最も多いのが、「働く気も…

ベーシック・インカムについて(2)

世界金融危機にはじまる不況によって、何かシステムを変えなくてはという流れができつつあるようにも思いますが、はたしてどういうシステムにするのか、またどういう人たちがそれを考えるのか。それを思うと、結局はなかなか変わらないのかなという気もしま…

ベーシック・インカムについて(1)

ようやく前門の虎も後門の狼もいなくなって一息ついたところです*1。その間にchinalocaさんからも催促をいただき(chinalocaさん、お久しぶり)、ベーシック・インカムについて書くことへのハードルがかなり高くなってきましたね*2。ちゃんと議論しようとす…

ベーシック・インカムについて(予告)

前々回のエントリーで触れた「ベーシック・インカム」について書こうと思っていたのですが、とっくに締切のすぎた原稿をまだ書かないうちに、前方から別の現行の締切が2本迫ってきている、まさに「前門の虎、後門の狼」という状況です(どこか「まさに」な…

星野監督はなぜ短期決戦に弱いのか

締切のすぎた原稿ややらなきゃいけない仕事が溜まっているにもかかわらず、けっこう連日オリンピック中継のテレビ観戦で忙しくなっています。きょうもこれから野球を見る予定です。 さて、その野球ですが、苦戦をしています。日本代表にはわがドラゴンズから…

お久しぶりに

きょう、30年前ぐらいからの古い知り合いで、ふだんはフランス在住のR氏から電話がかかってきました。電話も10年ぶりくらいじゃないでしょうか。いまは日本に滞在中とのことで、フランスで見た私のブログの「炎上」のことが話題になりました。読んでくれたん…

深夜放送的なニッチをつくるのは難しい

前回のエントリーは、このブログにしては大変にぎやかなことになりました。最初に寄せられたコメントにムカッときて、温厚で知られる私としては攻撃的な応答をしてしまったのがまずかったのかもしれません(反省)。それが、上からものを言っていると怒らせ…

「報復の代行」としての死刑?、そして感情――報復権は死刑の根拠たりうるか(3)

Skyhookさん、悲しみの聖母さん、コメントありがとう。 Skyhookさんのおっしゃるとおり、駒村さんは、「死刑は、国家が、報復権を本人になりかわり、適正かつ安全に代行する制度であるといえよう」「『報復の代行』という説明以外に、国家による暴力の独占を…

自然状態というフィクション――報復権は死刑の根拠たりうるか(2)

前回、死刑制度の話を「ちょっと時期遅れの話題」として書きましたが、あとで『論座』2008年3月号でも、「死刑論議の病理」という特集が載っていることを知りました。井上達夫さんとか浜井浩一さん、芹沢一也さんなどが論文を寄せています。つまり、少しも時…

報復権は死刑存続の根拠たりうるか――ちょっと時期遅れの話題

1月21日のエントリーで、「そろそろブログを書いておかないと、1月のエントリーはゼロってことにもなりかねないので」と書きましたが、やっぱり1月のエントリーはそれだけで終わり、もう2月も中頃になりました。きのうで4日間の大学の独自入試の業務も終…

病人や障害者が「受益者」なのか

あけましておめでとうございます(もう3週間も過ぎてしまいましたが)。今年もよろしくお願いします。 きょうでセンター試験の試験監督の業務も終わり、ほっと一息つきたいところですが、1月から2月にかけては、大学教員、特に私立大学の教員にとって1年…

もうすぐ1年

このところ、卒業論文の指導(私の勤めている大学では提出締切が12月20日)やら家族の入院やらで時間がなく、気づけば11月3日からブログを書いていませんでした。そして、もう一つ気づけば、去年の12月30日にブログをはじめてあと1日で1年たちます。これ…

「野球の最も美しい瞬間」について

日本シリーズでの完全試合目前の投手を交代させたドラゴンズの落合博満監督の采配がブログでもちょっと話題になっているようですね。野球解説者の何人かも疑問を呈していましたが、ブログでの賛否両論の議論に火をつけたのは、玉木正之さんのホームページで…

クライマックス・シリーズ導入の責任は大きい

25日は、我が(オーナーじゃないけどね)ドラゴンズがジャイアンツに負けてがっくりしています。でもまだM7はドラゴンズに点灯中。26日の対ジャイアンツ最終戦に勝てば、ドラゴンズ史上初の連覇は間違いのないところ(と思いたい)。 しかし、今年のセ・リ…

「異質性」や「多様性」って何だろう?

昔に読んだエッセイか何かで(誰がどこに書いたものなのか完全に忘れましたが)、「日本の街角で群集を見ると、みんな同じ黒い髪をしているので不気味に感じる。外国ではいろんな髪の色をした人たちが街を歩いているのに」といった趣旨のことが書いてありま…

沖縄の「スピヴァク不在のスピヴァク講演会」での本橋哲也さんの「妄言」

「討論の広場」というブログでのU君による「スピヴァク講演会」の連載記事も第14回となり、佳境にはいってきています。全部で16回ということですから、その完結を待ってコメントすべきかもしれませんが、今回の「スピヴァク講演会14」で紹介されている本橋哲…

スピヴァクによる剽窃疑惑?

きょう一日は家で過ごしました。きのうまでけっこう大学などに出かけていたので、ようやく夏休みが始まったという感じ。とはいっても、原稿の締切は過ぎているし、採点と成績付けがまだ終わっていないから、落ち着かない夏休み第1日目でした。学生より遅い…