クライマックス・シリーズ導入の責任は大きい

 25日は、我が(オーナーじゃないけどね)ドラゴンズがジャイアンツに負けてがっくりしています。でもまだM7はドラゴンズに点灯中。26日の対ジャイアンツ最終戦に勝てば、ドラゴンズ史上初の連覇は間違いのないところ(と思いたい)。
 しかし、今年のセ・リーグのペナント・レースは3チームが史上まれに見るデッドヒート。しかも人気のある3チームだけに、本来ならこれ以上盛り上がる展開はないはずなのに、盛り上がりはいまいちです。プロ野球ファンがかつてないほど熱くなれる千載一遇のチャンスがふいになったのは、言わずと知れたクライマックス・シリーズの導入のせいです。優勝を逃しても3チームともクライマックス・シリーズに出られるわけで、これで盛り上がれっていうほうが無理でしょう。
 導入の初年がたまたま上位3チームの競り合いとなったということが不運だったともいえますが、私が問題だなと思うのは、マス・メディアにおいて、クライマックス・シリーズが導入されたせいでこんな理想的な競り合いが台無しになったことを、ほとんど誰も指摘しないという点です。自分たちが言わないだけではなく、ドラゴンズの落合監督の「クライマックス・シリーズのせいでいまひとつ盛り上がらない」というまっとうな発言を取り上げるメディアもあまりありませんでした。それどころか、アホなスポーツ・アナウンサーが、中継のなかで、「これだけペナント・レースが盛り上がって、しかもその後にクライマックス・シリーズでも盛り上がれるのですからたまらないですね」と言っていました。盛り上げたいという気持ちや局としての利害関係は分かりますが、スポーツ・ジャーナリズムのこの批評性のなさが、プロ野球人気をだめにしてきたという自覚はないようです。いまだにジャイアンツが強くないとプロ野球は盛り上がらないと言っているくらいですから、彼らに批評性を求めるのは無理なのでしょう。近い将来、勝率5割を切った3位チームが日本一になって、長いペナント・レースなんていらないじゃないかとなって初めて、この変則的なポストシーズン・マッチの見直しの議論が出るのでしょうけれども、今年のペナント・レースでファンから(そしておそらく選手たちからも)はらはらどきどきの緊迫感を奪った責任がどれだけ大きかったかは議論にならないかもしれません。もう二度とこないかもしれないような、そしてクライマックス・シリーズさえなければずっと語り継がれていく物語性と美しさに満ちたデッドヒートだったのに。
 まあ、それでもドラゴンズが連覇して、日本シリーズでも勝ってくれれば、文句言わないけれどね。