2007-01-01から1年間の記事一覧

沖縄戦の「歴史修正」からなにを学ぶのか

海とばばさんに続いて、黄色い犬さんとmacbethさんからもコメントいただき、ありがとうございました。海とばばさんの、「証言をできる人たちが世代的に減っている今、こんな歴史修正がおこなわれている。何のための『歴史』なんでしょう」という言葉を受けて…

沖縄戦での「集団自決」を日本軍が強制していないってことにはならないんだけど。

養田さん、久しぶりにコメントをありがとう。他にもいろいろコメントをもらいましたが、それに応える前に、きょうはやはり「教科書検定で沖縄戦集団自決に日本軍の強制はなかったという修正意見」というニュースに触れざるをえないでしょう(「記憶」と「ト…

沖縄の「集団自決」補遺

海とばばさんもお久しぶりですね。コメントありがとう。海とばばさんがおっしゃるように、筆の勢いで書いてしまって、文章のおかしなところや読みにくいところがありますね。そのうち修正しましょう。 まだいろいろ書き忘れていることがたくさんあるような気…

「コメントのコメント」というカテゴリーをやめました

このブログの「カテゴリー」から「コメントのコメント」というカテゴリーをなくしました。このままだとほとんどの記事が「コメントのコメント」になってしまうからです。「人類学」と「読書ノート」というカテゴリーは残しました。これらもほとんど無意味な…

「トラウマと心理学主義」予告

Macbethさんは、前回の記事へのコメントの中で、 ところで、『個の代替不可能性』を掴んで(に掴まれて)生きる具体例として、私はPTSD症例を考えていました。ベトナム戦争以降の精神医学領域では、人の《受苦》体験を治療すべきPTSDの原因として(のみ)抽…

「アダム・スミス問題」と真正性の水準

macbethさん、コメントありがとうございました。なるほど、macbethさんは「個の代替不可能性」と社会的連帯ということを受苦の場面から考察していたのですね。前回の記事は、macbethさんのコメントの趣旨を取り違えていたようです。そして、その趣旨のように…

黄色い犬さんとmacbethさんのやり取りで考えたこと

結局、私の思考は、人の言ったことを勝手につなげて働くようで、だから、コメントへのコメントとか本の読書ノートみたいなことを書くことになるようです。そこで、きょうも、黄色い犬さんとのやり取りとmacbethさんのコメントで考えたことを書きたいと思いま…

カテゴリーってどうすればいいんでしょうね

このブログで「コメントへのコメント」ってカテゴリーを設けていたのですが、これまでの30記事のうち、半分の15の記事がこのカテゴリーに入るものとなっています。ということは、皆さんがコメントを下さるからブログが続いているということで、コメント…

「選ぶこと」と「自己選択」のあいだ

黄色い犬さん、macbethさん、コメントありがとう。黄色い犬さんは、 ところで、と「拡散」(忠誠の)との違いがまだよくわかりません。っていうのは関係を断片化して、そのつど都合の良い断片を選択することですよね?これをレヴィ=ストロースのいう「エンジ…

真正性の群島

Macbethさん、ようこそ。コメントありがとうございます。コメントのなかでmacbethさんは、 「『個の代替不可能性』を基盤とした社会的連帯」あるいは「《顔》のある関係」の重要性はその通りだと頷けるものでした。それら(非真正性社会に包摂された真正性の…

「ニューエイジ運動」との連続と不連続

現在のスピリチュアル・ブームについての文献というのは、まだあまりありませんね。当たり前ですけど、研究はかなり遅れてやってくるんですね。香山リカさんの本と信田さよ子さんの『論座』(2006年6月号)の論文くらいしかまだチェックしていませんが、両方…

キャリアデザインって。。

ちょっとブログ日記らしい記事を(でもどうかなあ)。 このあいだちょっと「キャリアデザイン」という語について触れました。新しい言葉は嫌いじゃないほうで、自分でもけっこう使うほうだと思うのですが、この言葉はどうも好きになれません。好きになれない…

「共同体」のイメージ

Morutanさんが、2月17日の日記に、 なんだかトラックバックがうまくいかないのでこちらにリンクを置いておきます。 http://muse-a-muse.seesaa.net/article/35314889.html というコメントをくださいました。そのリンク先の「muse-A-muse 2nd」で、このブログ…

「真正性の水準」再考

海とばばさんは、 「スピリチュアル」になぜ突然(?)反応し始めたのかなあと思っておりましたが、「個人化」のところからそちらへ発展したんですね。 と書いていますが、もともと災因論の研究から調査研究を始めて、アフリカのクリア社会では占い師のとこ…

morutanさん、ローランさん、コメントありがとう

morutanさん、ようこそ。情報をありがとうございます。ちょうどきのう、島薗さんのその本をアマゾンで注文したところでした。そういう情報は助かります。 ローランさん、コメントありがとう。島薗さんも前に論文で書いていたことですが、1980年代から、スピ…

千年紀資本主義とスピリチュアル・ブーム

人類学者のジーン・コマロフとジョン・L・コマロフが提起した「千年紀資本主義」論という議論があります。最もまとまった論考は、コマロフ夫妻が編集した『千年紀資本主義とネオ・リベラリズムの文化』(デューク大学出版、2001年)の「序論:千年紀資本主義…

品格と共通善

黄色い犬さん、コメントありがとう。黄色い犬さんは、 市場原理によらずに「役に立つ」ことを語るときに、いきなり「品格」とか(笑)。そうじゃない「生活の中で実際に行っているもの」がおもしろいんですが。そのうち「しがらみ」についてもっと書いてくれ…

お知らせ

ウェッブ・サイトの「小田亮の研究ホームページ」に先週土曜日に口頭発表した「西ケニア・クリア社会の分節リネージ体系・家・レヴィレート」をアップしました。 http://www2.ttcn.ne.jp/~oda.makoto/page030.html 「レヴィレート」というのは、夫に先立たれ…

ローランさんのコメントへのコメント

ローランさん、私の言いたいことに繋げてくださってありがとう。ローランさんは、 人類学が貢献できるものがあるとすれば、それはレヴィ=ストロースの「真正/非真正」や、小田さんの「対話的自己による(納得)自己選択/市場による(強制)自己選択」のよ…

黄色い犬さんのコメントへのコメント

黄色い犬さん、いつもコメントありがとう。2月22日の記事の最後のコメントに、内田樹さんの『下流志向』(講談社)の話を書いてくれましたが、そういえば、このプログは「ときどき読書ノート」とタイトルに入っているのに、ちゃんとした読書ノートって、…

家業を継ぐことと自己選択

海とばばさん、黄色い犬さん、コメントありがとう。ローランさんようこそ。 ローランさんが 部屋の片づけが上手な人なら誰でも気づきそうなものなのに(勉強が好きな人なら学術書が手の届きやすいところに配置されるし、ゲームをよくやる人ならゲーム機を取…

戦略的本質主義を乗り越えるには(4)

さて、レヴィ=ストロースのいう「真正性の水準」について、戦略的本質主義もコミュニタリアンも見落としているということ、この「真正性の水準」において、「役割連関」(有機的連帯)による関係性が、それだけでは留まらず、根源的な社会的連帯(機械的連帯…

進歩と解放

文化人類学を講義していると、学生たちの「人類の進歩」についての信仰が非常に頑強であることに驚くことがあります。今の時代に生まれて良かった、とか、アフリカじゃなく日本に生まれて良かったという感想も聞きます(講義をどんな風に聴いているんじゃと…

職場での「関係の過剰性」

養田季伊さん、コメントをありがとう。抽象的な議論を書いても、このように具体的な話に引き戻してくれるコメントをもらえるところがブログのいいところですね。 さて、養田季伊さんは、知人の1人がアルバイト先をクビになったという話から、クビにした側も…

戦略的本質主義を乗り越えるには(3)

卒論面接やら修論面接やら書類作成やら入試業務やら学会の理事会やらが続き、きょうはなんと11日振りの休みです。もっとも明日には博士論文の口頭試問があり、その準備でゆっくりできない状況ですが。 さて、「戦略的本質主義を乗り越えるには(3)」を書こ…

「本当の自分」と本質主義

アキバさん、ようこそ。 現在、校務がやたら忙しく、「戦略的本質主義を乗り越えるには(3)」はもちろん、ブログに何か新しいことを書くという時間がありません。そこに、幸いにもアキバさんがコメントをくださったので、それに答えるということができます…

テレビ番組での捏造について

日記らしくたまには時事ネタも、ということで、「戦略的本質主義を乗り越えるために(3)」はまたまた後回しにして(養田さん、せっかく「議論の続きを楽しみにしています」と書いてくれたのに、すみません、近日中には書きます)、「あるある大事典」で話…

「悪しきしがらみ」と「負ける」ということについて

黄色い犬さんのコメントを読んで、いまや子供向けのそんな本があるのかと思いました。その本に対するツッコミどころはいくらでもありますが(読んでもいないのにツッコミを入れるのもどうかと思うけど)、性的犯罪や凶悪犯罪が増えているわけでもないのに、…

教養としての文化人類学あるいは文化人類学の効用

養田さんが、 小田さんのブログは学術的なお話が中心なので、たまには日記のようなものがあると、とっつきやすいのかもしれませんね。そちらのほうも期待です。(笑) と書いてくれたことに甘えて、「戦術的本質主義を乗り越えるために(3)」を書く前に、…

戦略的本質主義を乗り越えるには(2)

少し思い出したので、「戦略的本質主義を乗り越えるには(1)」の続きの(2)を書きましょう。戦略的本質主義が「本質的アイデンティティ」を必要なものとしているのは、カテゴリーによって差別されたり周縁化されたりしている弱者が、差別している側であ…