2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

近代を「再埋め込み」するということ

今回も人類学っぽい話になりますが、9月上旬に某大学院の集中講義があり、その準備運動をかねて、そろそろ人類学モードにしなければならないのと、前回のエントリーへのかいとばばさんのコメントに応えるとき、まだいろいろ補足しておかなければならないこ…

「客体化」論から「範型化」論へ――システムに抗して

前回のエントリーで、松田素二さんの「切断」という概念について紹介・解説しましたが*1、その際に「切断」と「範型化」との関係について説明が分かりにくかったかもしれません*2。この「範型化」は、ある意味では「切断」よりも重要な概念かもしれません。…

〈地続き〉と「切断」――日本の人類学の理論的到達から(1)

このところ、日記や読書ノートで、沖縄やサバルタンや「慰安婦」問題といったトピックが続きましたが、そういった問題を論じるときのさまざまな争点やアポリアもすこし明らかになったと思います。その際の争点やアポリアを解決するには、じつは日本の人類学…

〈地続き〉と「切断」――日本の人類学の理論的到達から(2)

さて、つづきです。 松田素二さんの「切断」という用語のほうから説明しましょう。松田さんは、『抵抗する都市』のなかでは、本質主義的な語りを「均質化」の語り、構築主義的な語りを「異質化」の語りと呼んでいます。松田さんは、「抑圧者・被抑圧者を一元…

大沼保昭『「慰安婦」問題とは何だったのか』を読む

戦時中に「慰安婦」にさせられた国外の被害者に対して、国民と政府によって償いを行なうために作られた「アジア女性基金」については、1995年の設立当時からほとんど批判しか聞かなかったような気がします。設立当時は、メディアにおいてのフェミニストや「…

沖縄の「スピヴァク不在のスピヴァク講演会」での本橋哲也さんの「妄言」

「討論の広場」というブログでのU君による「スピヴァク講演会」の連載記事も第14回となり、佳境にはいってきています。全部で16回ということですから、その完結を待ってコメントすべきかもしれませんが、今回の「スピヴァク講演会14」で紹介されている本橋哲…

スピヴァクによる剽窃疑惑?

きょう一日は家で過ごしました。きのうまでけっこう大学などに出かけていたので、ようやく夏休みが始まったという感じ。とはいっても、原稿の締切は過ぎているし、採点と成績付けがまだ終わっていないから、落ち着かない夏休み第1日目でした。学生より遅い…