「ネオリベラリズムの文化」文献

 明日は大学の入学式です。そろそろ授業の準備をしなくてはならない時期になってきました(本当はもっと早くしていなきゃいけないんだけど)。講義のひとつは、副題が「ネオリベラリズムの文化」です。まあ、コマロフ夫妻の『千年紀資本主義』の副題をパクったのですが。そのために文献を新たに何冊か読んでいるのですが、なかなか読書ノートを書く時間がないですね。寸評ぐらいの読書ノートでもあったほうがいいとは思うのですが(なにせこのブログのタイトルに「ときどき読書ノート」とありますから)。
 読書ノートはまだ書けないのですが、「ネオリベラリズムの文化」の講義の参考文献として挙げようと思っている文献表を、何かの参考になればと思い、載せておきます。学部学生向けですので、手に入りやすいものを中心に選び、読みにくい専門書はなるべく避けてあります。

【世界編】
C・レヴィ=ストロースレヴィ=ストロース講義』平凡社ライブラリー、2005年
E・ホブズボーム『20世紀の歴史:極端な時代 下』三省堂、1996年
パオロ・ヴィルノマルチチュードの文法』月曜社、2004年
ジークムント・バウマン『リキッド・モダニティ』大月書店、2001年
ジークムント・バウマン『政治の発見』日本経済評論社、2002年
ウルリッヒ・ベック『危険社会』法政大学出版局、1998年
リチャード・セネット『それでも新資本主義についていくか』ダイヤモンド社、1999年
デヴィッド・ハーヴェイネオリベラリズムとは何か』青土社、2007年
ジョージ・リッツア『マクドナルド化する社会』早稲田大学出版部、1995年
A・R・ホックシールド『管理される心』世界思想社、2000年
スチュアート・タノック『使い捨てられる若者たち』岩波書店、2005年
ジョック・ヤング『排除型社会』洛北出版、2007年
スラヴォイ・ジジェクイラクユートピアの葬送』河出書房新社、2004年
マイク・デイヴィス『要塞都市LA』青土社、2001年
高祖岩三郎『ニューヨーク烈伝:闘う世界民衆の都市空間』青土社2006年
デイヴット・ライアン『監視社会』青土社、2002年
デイヴット・ライアン『9・11以後の監視』明石書店、2004年
アンソニー・ギデンズ『暴走する世界』ダイヤモンド社、2001年
テッサ・モーリス-スズキ『自由を耐え忍ぶ』辛島理人訳、岩波書店、2004年
小倉英敬『封殺された対話:ペルー日本大使館公邸占拠事件再考』平凡社、2000年
木原善彦『UFOとポストモダン平凡社新書、2006年

【日本社会編】
上田紀行『生きる意味』岩波新書、2005年
春日直樹『〈遅れ〉の思考:ポスト近代を生きる』東京大学出版会、2007年
森 真一『自己コントロールの檻』講談社選書メチエ、2000年
森 真一『日本はなぜ諍いの多い国になったのか』中公新書ラクレ、2005年
渋谷 望『魂の労働:ネオリベラリズムの権力論』青土社、2003年
酒井隆史『自由論』青土社、2001年
佐伯啓思現代社会論』講談社学術文庫、1995年
大平 健『豊かさの精神病理』岩波新書、1990年
岡本裕一郎『ポストモダンの思想的根拠』ナカニシヤ出版、2005年
岡本裕一郎『モノ・サピエンス』光文社新書、2006年
芹沢一也『ホラーハウス社会』講談社+α新書、2006年
浜井浩一芹沢一也『犯罪不安社会』光文社新書、2006年
東浩紀大澤真幸自由を考える日本放送出版協会NHKブックス)、2003年
東 浩紀『動物化するポストモダン講談社現代新書、2001年
大塚英志物語消滅論角川書店角川oneテーマ21)、2004年
鈴木謙介カーニヴァル化する社会講談社現代新書、2006年
阿部潔成実弘至編『空間管理社会』新曜社、2006年
五十嵐太郎『過防備都市』中公新書クラレ、2004年
斎藤貴男『安心のファシズム岩波書店岩波新書)、2004年
広田照幸『《愛国心》のゆくえ』世織書房、2005年
小沢牧子『「心の専門家」はいらない』洋泉者新書y、2002年
山田昌弘希望格差社会筑摩書房ちくま文庫)、2004年
内田 樹『下流志向:学ばない子どもたち 働かない若者たち』講談社、2007年
諏訪哲二『オレ様化する子どもたち』中公新書クラレ、2005年
斎藤 環『心理学化する社会』PHP研究所、2003年
斎藤 環『「負けた」教の信者たち中公新書ラクレ、2005年
富田英典・藤村正之編『みんなぼっちの世界』恒星社厚生閣、1999年
浅野智彦編『検証・若者の変貌』勁草書房、2006年
土井隆義『〈非行少年〉の消滅』信山社、2003年
土井隆義『「個性」を煽られる子どもたち』岩波書店岩波ブックレット)、2004年
西村清和『電脳遊戯の少年少女たち』講談社現代新書、1999年
宮台真司まぼろしの郊外:成熟社会を生きる若者たちの行方』朝日文庫、2000年
宮台真司『制服少女たちの選択 After 10 years』朝日文庫、2006年
三浦 展『下流社会光文社新書、2005年
三浦 展『ファスト風土化する日本』洋泉者新書y、2004年
阿部真大『搾取される若者たち』集英社新書、2006年
松原隆一郎『消費資本主義のゆくえ』筑摩書房ちくま新書)、2000年
桜井哲夫『〈自己責任〉とは何か』講談社現代新書、1998年
大庭 健『「責任」ってなに?』講談社現代新書、2005年

いちおう「文化人類学」の講義なのですが、しかし人類学関連の文献は少ないですね。英語文献だともうすこし人類学者が書いたものがあるのですが。でも、日本語の専門書をなるべく外した文献でも、なかなか学生は読んでくれないですね。日本でもエリート・サラリーマンとか「ワーキング・プア」とかフリーターといった労働現場の民族誌的研究や、会社員や大学生といった普通の若者たちの民族誌的研究とかが増えると「ネオリベラリズムの文化」の人類学的な研究も進み、他の学問とはひと味ちがった「現代社会」像を描けると思うのですが。